電波障害対策工事ではざっくりとこんな仕事をしています

業務内容
この記事は約5分で読めます。

これまで大きな枠で業務内容を紹介してきましたが、ネタも尽きてきましたので、これまでより少し細かい業務内容を紹介していきます。

電波障害とは?

あまり聞き慣れない言葉ですが、そのままの言葉です。

電波を妨害すると電波が届きません。

その対策をするのがこの工事です。

世の中には様々な電波が飛んでいますが、今回のターゲットはテレビの地上波放送です。

電波障害はなぜ発生するのか?

大きな建物があると、電波的に影が発生します。

その影に隠れたアンテナには電波が届きません。

そのため、建物が新たに建築されると、その建物によって影になったアンテナでは電波を受信できなくなり、テレビを見ることができなくなるわけです。

建築によって障害が発生するわけですから、保障する必要があります。

 

ちなみに、建物が立った後から家を建てて映らないと言われてもそれは問題になりません。

元から映らない場所に家を建てた人は、その前提で建てたわけですから、アンテナを高くするとかケーブルテレビを引くとか自分で工夫する必要があります。

テレビ電波だけが対象か?

基本は地上波テレビ放送だけが対象です。

衛星放送や携帯電話やラジオ放送は対象にしていません。

また、別に電波伝搬障害防止制度があり、31mを超える高層建築物等の建築については、重要無線通信が突然に遮断されるのを未然に防ぐ制度があります。

電波障害対策の実務

机上検討

まずは建築物の高さや大きさが決まらないとその影は決まりません。

太陽と違って電波の照射方向が決まっていますので、日陰の計算よりは簡単です。

しかし、太陽と違って、アンテナ局が複数あるので、すべての放送波について検討しなければなりません。

放送波はここで確認できます。

結構、面白いページです。

A-PAB 放送エリアのめやす
地上デジタル放送の受信エリアのめやすの検索ができます。都道府県や郵便番号、住所等による検索が可能です。

さらに、影になりそうな建物はほんとうに影になるのかどうか?

当然ですが、相手の建物のほうが高ければ問題はありません。

アンテナが一番上についている前提ですけど。

地図で電波障害の影響が出る区域を確認します。

机上検討の実務は、設計コンサルタントに委託することが多いです。

現地調査

建物の半分だけが影になっている場合があります。

その場合は、アンテナがどこに付いているかがポイントになります。

また、ケーブルテレビや光回線でテレビを引いているて建物もあります。

その場合も当然、関係ありません。

実際は、現地を見て確認します。

現地調査の実務は、設計コンサルタントに委託することが多いですが、報告を受けたら必ず自分で現地で確認した方がいいです。

実際、事が起こってからでは対応が大変ですので、自分で確認します。

現地調査を勘案して対策工事をする建物を決定します。

電波測定

工事に着手する前に現状の電波の状態を測定しておきます。

目的はふたつです。

・建築することによって電波が悪くなったことを確認するため

・建築することによっても電波が悪くならないことを確認するため

机上検討によって、電波が悪くなりそうなところと、悪くならなさそうなところについて、複数点をすべてのチャンネルについて電界強度や品質を測定します。

建築する建物で影にならないところは、建築前後で電界強度は変わりません。

測定点を決めるのは、担当者です。

工事後に工事前の状態は測定はできないので重要な検討作業です。

電波測定は、委託業者が行います。

工事説明会

規模が大きい建築工事を行う場合は、住民説明を行うことが多いのです。

通常は、工事区域や騒音、工事車両の話などがほとんどなのですが、その中で電波障害について説明することがあります。

住民にとっては、工事によって影響があるわけですから、テレビ写りが悪くなるといい気持ちではありません。

こちらができることを誠心誠意に説明するしかありません。

実務は担当者が担います。

対策工事

電波障害が発生する前に、対策工事をすることが基本です。

建物によって対象のアンテナに影ができる前に完成させなければなりません。

対策工事は、地域のケーブルテレビを引くことが多いですが、状況によっては新しい建築建物の屋上にアンテナを立てて、障害が発生している建物までケーブルで送り込むというパターンもあります。

単純にアンテナのマストを高くするという方法もあります。

工事の実務は工事業者が行いますが、対策を行うお宅には事前に工事の内容を担当者が説明に行きます。

こうした説明まで工事業者に任せると、後でややこしくなることがあります。

面倒な仕事こそ住民に顔を出して説明していた方が、必ずうまくいきます。

イレギュラーな対応

ベランダなど道路から見えない低い場所にアンテナを付けていたりしているなど、こちらが事前に気付いていない予想外の建物で電波障害が発生することがあります。

現地で確認できなかったものですから、仕方ありません。

また、受信感度が悪い平面アンテナで電波障害が発生することがあります。

平面アンテナは本当におすすめしません。

見た目はいいということで、普及しつつありますが、台風などでも写りが悪くなりやすそうでしょうし、どうなんでしょうか。

どっちにしても、こちらで事前に気づくことが重要です。

平面アンテナは油断して見過ごしやすいので、要注意です。

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